最高のスーツを手に入れるために
イタリアのスーツには、大きく二つの流れがあります。ルーツとして、ミラノ(北部のロンバルディア州)とナポリ(南部のカンパニア州)に別れるのです。
ミラノは、誰もが知っているデザイン産業の最先端の都市ですよね。洗練されたデザインのスーツが世界中に送り出されています。一方、ナポリは、南部の代表的な都市であるものの観光やピザなどが有名です。
この2つの都市のスーツの違いはというと、都市の雰囲気と同様に「最先端か伝統的か」という差となります。ミラノは、デザイン産業の都市ですから、大きなビジネスを行いますので、やはり既製品の大量生産を行っているのが特徴です。
一方、ナポリは、テーラー(イタリアでは、サルトやサルトリアと呼ばれる)が手作りで仕立てています。ちなみに、フルオーダーのことをイギリスではテーラードと呼びますが、ナポリのフルオーダーは「ス・ミズーラ(SU MISURA)=あなたのサイズに合わせて」と言います。
ナポリのスーツの作り方は独特で、型紙を作らずにチョークで生地に直接イメージを書き込んで、仮縫いを丁寧に行いながら調整していくという方法を取るようです。型紙を使ってスーツを仕立てるよりも、柔らかい感じで仕上がるそうです。
ちなみに、イタリアのスーツとして、よく耳にするのは「クラシコイタリア」という言葉。これは、クラシコイタリア協会という協会の名前でもありますが、協会に属している会社が作っている既製品のスーツの総称でもあります。
スーツは、イギリスの伝統的なスーツの良さを踏襲しながらも、イタリア独自の視点でオリジナルのデザインを反映させたものになります。大きな特徴として、様々なディテールが「ハイポイント」である点です。ボタンやポケット、ウエストの絞り位置などがすべて高い位置に設定されています。
オーダースーツの予め用意されている型紙で、クラシコイタリア・モデルというものがありますが、ディテールがハイポイントであると考えてよいでしょう。
それでは、イタリアの生地をいくつかピックアップしてみましょう。まずは、Ermenegildo Zegna(エルメネジルド・ゼニア)です。1910年テキスタイルメーカーとして創業して以来、世界的な事業展開を積極的に行い、今やイタリア最高峰の服地メーカーとして知られています。
最高級の原材料にこだわりを持っているブランドで、オーストラリアファインメリノウールを採用した生地などがあります。ゼニアの高度な技術により、「しなやかで軽く、弾力性が豊か」な着心地が特徴です。
続いて、TALLIA DI DELFINO(タリア・デルフィノ)です。1903年にガルディア・タリア社として創業しその10年後、現在の社名に変更。イタリアのビエラ地方にある創業以来100年余り続く最高級服地メーカーです。トレンドに合わせた多彩な色や柄のセンスの良さが特徴です。
イタリアの伝統的なスーツの特徴は、「ハイポイント」で、「ミラノは、最先端のトレンドを盛り込んだ洗練されたスーツ」で、「ナポリは、伝統的なイタリア・スーツの特色を色濃く残しているスーツ」と覚えておくと良いでしょう。